インターネットで「スマートホーム」と検索すると出てくる製品は、主に赤外線通信を使用したものや、無線通信を使用したものです。 この記事では、それらとは異なる、まだあまり知られていない新しいスマートホームの概念をご紹介したいと思います。

 

2020年現在、スマートホームという言葉も浸透してきて、照明や空調を携帯のアプリからON・OFFすることは既に当たり前のことになってきました。

しかし、アプリから家電をON/OFF出来ればスマートホームといえるのか、というと、実はそうではありません。

この記事では、本当の意味でのスマートホームの概念、そしてそれを実現する「KNXシステム」というものについてご紹介します。

 

本当の意味での「スマートホーム」とは?

まずは、赤外線通信を使用した製品や、無線通信を使用したスマート製品についてです。

例えば、A社からスマート玄関錠を購入し、B社からスマート照明を購入したとしましょう。

玄関錠のアプリから玄関の施錠が出来、照明のアプリからはリビング照明のON/OFFが出来ます。

ここで、「玄関錠が開いた時に、リビングの照明もONにしたい!」といった希望が出てきたとします。

残念ながら、これを実現する事は出来ません。

なぜなら、A社の製品とB社の製品の内部のシステムは各社独自のもので、他社の製品とはコミュニケーションを取ることが出来ないためです。※1

この場合「スマート」と言っても、玄関錠とリビングの照明が、おのおのスマートになっただけと言えます。

 

建物を本当の意味で「スマート」にするには、

建物の内外の電気で動くモノを全て一つに繋ぎ合わせ、モノ全てが相互にコミュニケーションを取れるようにする必要があります。

そして、一見全く無関係と思われる照明やブラインドを、風力を検知するセンサーや窓の開閉状況を検知するセンサーと一緒に繋ぐ事で、今度は自動化といった事が可能になり

スマートホームの本当の価値が発揮されることになります。

そこから当社のスローガン「モノをつなぐ、人をつなぐ。」が生まれました。

では、電気で動くモノ全てを繋ぐのはどうすれば出来るかと言うと、単一の企業に依存したシステムではない、世界共通のシステムを使用する事です。弊社も使用しているKNXシステムがこれにあたります。

これを使用する事で、建物内外のどんな製品も電気で動くものであれば、一つにつなげて様々な機能を追加することができます。

 

スマートガジェットの限界

スマートガジェットのもう一つの欠点は、製品を自社の特別なアプリからでないとコントロールできないことです。

例えば、上記のスマート玄関錠、スマート照明のアプリに加えて、エアコン用のアプリ、スピーカー用のアプリなどの様々なデバイスのアプリがどんどん増えていきます。

それぞれの製品を動かすのに、アプリを一つ一つ起動していくのはなかなかの手間です。

 

上記で、スマートホームの基本的機能はモノ同士がコミュニケーションできることだと述べました。

モノ同士がコミュニケーションを取れるのは、モノが全て世界共通のシステムを使用しているためです。

そして、共通のシステムを使用しているということは、一つのアプリで全てのモノを動かす事が可能ということを意味します。

KNXの場合

世界共通のシステムには複数ありますが、SUMAMOでは「KNXシステム」を使用しています。

KNXはホーム・ビルオートメーションの国際規格でOSIベースのネットワーク通信プロトコルであり、EN 50090 および ISO/IEC 14543 として標準化されています。ヨーロッパで広く普及しています。

では、KNXを使うと具体的にどんなことが出来るかを見ていきます。

先ほど、「一見全く無関係と思われる照明やブラインドを、風力を検知するセンサーや窓の開閉状況を検知するセンサーと一緒に繋ぐ事で、自動化が可能になる」という話がありました。

 

〜自動化イメージ〜

例えば、建物の屋上に設置している風力センサーが30km/時の強い風力を検知したとします。

この状況を、窓の開閉状況を検知するセンサーに連携します。

窓の開閉状況を検知するセンサーは、建物内の窓で空いているものがないか確認します。

もし、空いている窓があれば、次にその窓に備え付けられているブラインドの状況を確認します。

もし、ブラインドが降下状態だった場合、30キロ/時の風が当たると破損するため、ブラインドを上に上げます。

最後にユーザに、空いている窓の位置と風力を通知します。

 

上記のように一見関係のないものを全て繋いでコミュニケーションを取れるようにしておくことで、ある程度の事は自動でやってくれる本格的なスマートホームを実現できます。

他にも、照度センサーを用いて日中明るい時は照明の照度を下げたりする事で、便利さだけでなく節電効果も得ることができます。

上記は一例に過ぎず、こういった自動化のシナリオは自由自在に設定できるので、各ユーザのニーズに合ったユニークなスマートホームを作ることができます。

 

まとめ

今回は、スマートガジェットとスマートホームの違い、スマートホームで出来ることをご紹介しました。

自宅にスマートガジェットを導入すれば照明、音楽、ブラインド、センサーなどの設備がおのおのスマートになります。

しかし、それだけではスマートホームとは言えず、どちらかと言えばこれはアプリでモノを遠隔操作できるスマートリモコンに近いものと言えます。

スマートホームは建物内外のモノが全て繋がり、特定の状況下でユーザが直接手を下さなくても適切な動作をしてくれるスマートなモノです。

自動化のパターンは無限大であり、同じ状態でも人が家にいる時といない時によって動作を変えたりすることができます。

 

以上、新しいスマートホームの概念についてでした。いかがでしたでしょうか?

この記事を読んでスマートホームの見方が変わったと思われましたら是非コメントください。

スマートホームに関してもっと知りたいことなども、コメント頂けますと幸いです。

 

※1 最近はAlexaに対応した製品も多いので、双方の製品がAlexaに対応していれば、Alexa経由でコミュニケーションを取る事は出来ます

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